こんにちは。

イベント部長の三上です。


《un-fold》vol.1にお越し下さった皆様、ご来場誠にありがとうございました。
至らぬ点が多々ありましたが、4組のゲストによる知的好奇心を刺激するお話と予想を上回るご来場者の皆様に支えられ、無事終了することができました。改めてお礼申し上げます。ありがとうございました!


さて、当日私は司会を努めさせていただきましたが、肝心なことをお話できなかったので、この場を借りて、イベントの補足説明をさせていただきます。


それは、4組の出演者のキャスティングとun-foldの意図についてです。


どんな雑誌を作ろうかという話し合いを編集部メンバーで重ねるうちに、ただ雑誌を作り、一方的に読者に届けるだけでなく、投書欄のような読者と読者、あるいは読者と編集部の交流の場を、実際に読者を目の前に、ライブで出来ないかということを考え始めました。雑誌 fold に対するイベント un-fold がここで誕生しました。un-foldには、1、折り畳まれた紙面を広げ、2、紙面の情報を展開するとともに、3、出演者に打ち明けてもらう、という意味が込められています。


「時」をテーマにした雑誌にしようと決まった際、私の頭には、杉本博司さんとmatohuという二組の表現者が思い浮かびました。杉本博司さんのレクチャーを初めてお聞きしたのはベルリン留学中のこと。この時に、杉本さんが骨董や古美術を収集されており、「歴史の歴史」展が日本でも開催されることを知りました。幸運なことにお話する機会に恵まれ、これがきっかけとなり、今回のトークショーに繋がりました。


matohuのことを初めて知ったのは大学2年生の頃。古い友人のS氏から「失われつつある日本の伝統的な技術を、新しい形で受け継いでいきたい」という物づくりに対する熱い思いを持ったデザイナーのコレクションを観に行った話を聞いたことがきっかけでした。消費サイクルの早いファッション界で、5年10シーズンのコレクションコンセプトを先に打ち出しているところ、慶長年間に着眼し、長着(nagagi)という和装でも洋装でもあり/ない服を、形は変えずに模様や色を変えて発表するところに興味を抱き、今回の公開インタビューに繋がりました。

この2組は、古(の日本)に思いを馳せ、現代に蘇らせるというアイディアを、作品に落とし込むという点が共通した〈作家〉といえると思います。


もう一つのテーマが「雑誌」なのですが、雑誌には〈編集〉という作業が欠かせません。しかし、はて〈編集〉とは一体何なのか、4月から立ち上がったばかりの素人集団コマプレスメンバーはまだわかっておりませんでした。そこで脳裏をよぎったのが、後藤繁雄さんと木幡和枝さんのお二方でした。お二人とも編集に長年携わり、特にアートに関して造形が深く、雑誌、本の編集のみならず、展覧会のキュレイションをし(キュレイションは編集と似ている?)、数々のイベント(トークショウやダンスフェスティバルなど)を企画してきました。また現在は、芸術系大学で教鞭をふるっておられる点でも共通しています。そのお二人に、第1部の流れを受けて、「時」と「雑誌」をテーマに、即興を交えつつ、語っていただけたら面白いのではないか。と、このようなお話をお二方にしたところ、快く引き受けてくださいました。


以上のような経緯から、「Time Retold 語り直される時間」というものを、来場者の皆様と共に考えていくために、「作品を作る」側と「素材を編集する」側の双方から「時」へのアプローチを語っていもらおうというのがun-fold vol.1の目指すところでした。


第1部では、杉本博司さん、matohuは自身の表現のコンセプトや主張を語っていただくためにレクチャーおよび公開インタビュー形式をとりましたが、第2部では、第1部の素材をその場で「編集」していただくため、またそれぞれの編集へのアプローチの違いを浮き彫りにするために、対談という形式をとりました。


昨晩は、時間が短かったことと我々の力不足のため、un-foldできなかったことも多く、上記の意図の説明が不十分であり、ご来場者様の中にはさぞもどかしい思いをされたかたがいることでしょう。お答えくださったアンケートでも、イベントの趣旨がわかりにくかったというご感想をいただきました。今回は初めてのイベントだったのですが、反省点、学ぶ点が非常に多く、是非次回以降に活かしていきたいと思います。


最後にもうひとつ。このイベントは本当に沢山の方の協力なくして成り立ちえませんでした。超多忙にも関わらずイベント出演を快諾してくださったゲストの方、イベント出演を出演者を紹介してくれた先生、友人・知人、いつも暖かく見守っててくださった田中先生、いくつもの長い夜を共にしたメンバーの皆、そしてイベントにお越し下さった皆様、本当にどうもありがとうございました!!


あらら、補足なのに長くなってしまいました。



成長中のfoldおよびun-foldをこれからも応援してくださいね。