吉増剛造さん朗読会 in 駒場

はじめまして、「fold」記事担当の門間です。

有名な映画監督の言葉に倣っていえば、一日のうちには「昼の時間」と「夜の時間」がありますが、雑誌はどちらの世界に属する存在なのでしょうか?

「fold」は?

先日は詩人吉増剛造さんのインタビューを下北沢で行ってきました。詳しい内容は創刊号に掲載しますのでお待ちください。

ここで書いておきたいのは、吉増さんが一時間を超える僕らとのインタビューのような会話のような話の終わりに、中原中也の詩「愛するものが死んだときには奉仕の気持ちにならなければならない」という言葉が読み解けた、と仰ってくれたことです。


「昔、僕の好きな女の子がいて、その子は学校の教室で突然煙草を吸い出しました。僕は『なんでお前煙草なんて吸ってるんだ』と聞くと、彼女はこう言ったんです。『私の好きな人は、煙草を吸うのが好きだから、真似をしたくて吸ってるの』」


「見事なことを言ったね」


これは言わなかったけれど、僕も一人部屋で煙草を吸うとき、その彼女の仕草を思い出します。

もちろん数字を数えれば、あれから3年経ったことはすぐに分かるけれど、「時間が経った」とはっきり口にするためには、違うことをしなければならないでしょう。

時間の過ごし方や、時間との付き合い方なんていくらでもあるけれど、「正しく」時間が流れるためには、煙草を吸って、彼女の思い出に「添う」必要がありました。

できることなら、「fold」のこのページは「夜」に読んでほしいです。

吉増剛造さんの言葉にみなさんの時間を委ねてほしい。あなたにとって、「正しく」時間が流れるために必要なことがわかるはずです。


6月28日の日曜日に、吉増剛造さんが東京大学駒場キャンパスで朗読をしてくれます。
本物の詩人に会える機会ですから、どうぞこちらもご来場ください。


吉増剛造×藤井貞和×工藤冬里 「朗読と、演奏と、歌 ―詩と、詞と、声が降るように―」
東京大学駒場キャンパス音楽実習室(コミュニケーション・プラザ北館2F)
6月28日(日) 開場:午後5時 開演:午後5時半
学生:無料  一般:2000円(予約) 2500円(当日)
予約・問い合わせ:yoyaku-blueholiday@mail.goo.ne.jp
_予約の際は、人数分の氏名、所属(学生又は一般)、電話番号をお伝えください


(門間)